パフォーマンス・アート

体や行為を題材とするこの芸術分野は、前衛美術、芸術が欧米や日本で盛んであった1960年代には、芸術の過度な商業化に対する抗議や直接的な発言を求める芸術家の欲求で、「ハプニング」「イベント」「ボディーアート」「アクション」などと呼ばれ盛んに行われた。しかし1989年の東西冷戦構造の崩壊後から、この表現の新たな意義を表明する国際フェスティバルが世界各地域で始まり、10年以上継続開催をしている芸術祭も多い。日本は戦後間もない1950年代から活動を開始した「具体美術」や、同時期の草間彌生のNYでの活動や「フルクサス」へのオノヨーコを初めとする日本人参加、また国内での「ネオダダ」「九州派」「ハイレッドセンター」「ザプレイ」などの活動がいまや世界的に知られている。1990年はじめから世界各地で国際パフォーマンスアートフェスティバルが開催されるようになり、ものを作らないこの分野が現在では中南米、アジア中東欧でも活発な動きとなっている。現在まで続く国際パフォーマンスフェスティバルの時代と呼ばれている。現在のネット社会やゲーム時代が生み出した個人の疎外、身体感覚の欠如、生命観の喪失などあらたな問題にも身体と行為を使うこの芸術表現がこの時代の新たな意義を世界各地で見いだされている。インターディシプリナリーアート、エマージェンシーアート、ライブアートとも呼ばれ、欧州ではアクションポエトリー(行為詩)と呼ばれ、多くの詩人も行っている。アジア各国でも盛んな動きになっている。